鳥の巣撤去は自分でできる?法律と費用相場、安全な手順を徹底解説
「自宅のベランダや軒下に鳥が巣を作ってしまったけれど、これって勝手に撤去してもいいのだろうか」とお困りではないでしょうか。ネット上には様々な情報が溢れていますが、法律を無視して自己流で撤去すると予期せぬ罰則の対象となる恐れがあります。この記事では、鳥獣保護管理法に基づく正しいルールから、卵やヒナがいる場合の手続き、業者に依頼する際の流れまで詳しく解説します。
鳥の巣撤去を自分で行う前に知るべき法律と注意点
自宅に作られた鳥の巣を対処するには、法律上の正しい知識を身につけ、自身の判断が違法行為にならないか確認することが不可欠です。
鳥獣保護管理法とは?勝手に撤去すると違法になる理由
日本の法律では、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」により、野生の鳥類やその卵の捕獲、殺傷、採取などが原則として禁止されています。そのため、スズメやハト、カラスといった野生の鳥が自宅に作った巣を、個人の判断で勝手に撤去することは法令違反となる可能性が高いです。
許可なく巣を壊したり処分したりした場合、法律に基づいて罰則の対象となる恐れがあります。野生生物の生態系を守る観点から、たとえ私有地であっても勝手な駆除は認められていません。鳥の巣を見つけたときは、まず法律上のルールを守ることが大前提となります。
「巣だけなら壊していい」という誤解と実際のルール
インターネット上には「中に卵やヒナがいなくて、巣だけであれば無条件で自由に撤去してよい」という情報が見受けられますが、これは誤った解釈です。たとえ空の巣に見えたとしても、その中には見えにくい卵が隠れていたり、親鳥が巣作りを行っている最中であったりするケースが多々あります。
鳥獣保護管理法においては、卵がある状態はもちろん、鳥が巣を作っている最中の段階でも保護の対象に含まれることが一般的です。そのため、自己判断で「まだ中身はないだろう」と思い込んで撤去作業を行うと、知らず知らずのうちに法律に抵触してしまうリスクがあるため注意しなければなりません。
役所に頼めば無料で撤去してくれるという誤解の実態
「自宅に鳥の巣ができたら、市区町村の役所に連絡すれば無料で撤去や駆除の作業を代行してくれる」というイメージを持つ人も少なくありません。しかし、自治体の窓口はあくまで鳥獣保護管理法に基づく捕獲等の申請を受け付けたり、法律上の相談に対応したりする機関です。
多くの自治体では、私有地(個人の敷地内)にある鳥の巣の撤去作業を直接代行する業務はおこなっておらず、原則として自分で対処するか専門業者へ依頼するように案内されます。行政がすべての作業を無料でやってくれるわけではないという実態を理解した上で、自力で進めるか業者へ相談するかの検討が必要です。
卵やヒナがいる鳥の巣を合法的に撤去する手順
卵やヒナがいる鳥の巣を撤去するには、自治体への申請を経て許可を得るという法的な手続きが不可欠です。事前の状況確認から正式な許可後の作業までの正しい手順を押さえて、法令を遵守した対応を行いましょう。
まずは卵やヒナの有無を確認する重要性
鳥の巣を発見したときは、巣の中に卵やヒナがいないかを慎重に確認することが法律違反を防ぐための大前提となります。親鳥が頻繁に出入りしている場合は、すでに卵を産んでいるかヒナが育っている可能性が高いといえます。ただし、鳥の警戒心が強い時期に無理に近づくと、親鳥を刺激したり思わぬ事故につながったりする恐れがあります。
そのため、直接巣の中を覗き込むのではなく、遠くから双眼鏡を使ったり、親鳥の動きを静かに観察したりして確認してください。また、枯れ枝や泥などで巣の内部が隠れているケースもあるため、見えないからといって卵やヒナがいないと自己判断しないことが大切です。安全な方法で確実な状況を把握することが、その後の適切な対処につながります。
市町村の窓口で行う捕獲等許可申請の仕組み
巣の中に卵やヒナがいる場合、そのままでは自分で撤去できないため、お住まいの市町村の担当窓口で「捕獲等又は鳥類の卵の採取等許可申請」を行う必要があります。この申請は、生活環境への深刻な被害があり、ほかの防鳥ネットや忌避剤といった対策では被害を防げないという要件を満たした上で行うものです。
申請時には、被害の状況や撤去を希望する理由、対象となる鳥の種類などを詳細に記載した申請書を提出します。自治体によって必要な書類や手続きの流れが多少異なるため、事前に電話などで確認しておくとスムーズです。なお、申請から許可証が交付されるまでには数日から数週間程度の時間がかかることが多く、今すぐその場で撤去できるわけではない点に注意してください。
許可証が交付されてから撤去作業を行うまでの流れ
自治体から正式な許可証が交付されたら、記載された内容や条件に従い、安全に巣の撤去作業を進めます。作業を行う際は、鳥の寄生虫やフンによる感染症を防ぐために、マスクや手袋、ゴーグルなどを着用して衛生面に十分配慮してください。撤去した後は、鳥が再び戻ってこないようにベランダや軒下をきれいに清掃し、必要に応じて消毒を行います。
万が一、こうした正式な許可を得る前に卵やヒナがいる巣を自分の判断で撤去してしまうと、鳥獣保護管理法違反に問われる恐れがあります。適正な手続きを踏む時間がない場合や、自分で作業を行うことに不安があるときは、自治体の許可を得た専門業者に代行を依頼することも検討してください。
鳥の巣を放置することで発生する深刻な被害とリスク
自宅の軒下やベランダに作られた鳥の巣をそのままにしておくと、生活環境の悪化や健康へのリスクなど、様々な問題を引き起こす原因になります。ここでは、放置することで生じる具体的な被害について詳しく解説します。
騒音やフン害による生活環境への悪影響
鳥の巣を放置すると、鳴き声による騒音や大量のフンによる汚れや悪臭といった深刻な生活環境の悪化を招きます。鳥は夜明け前や早朝から大きな声で鳴くことが多く、毎日のように続くと睡眠不足やストレスなど精神的な負担へとつながります。また、ベランダの手すりや室外機、洗濯物にまでフンを落とされるようになると、洗濯物が干せなくなるだけでなく、見た目も損なわれます。
鳥のフンは放置すると固まってしまい、こびりつくと簡単には落とせません。さらに、独特の強い悪臭が漂うようになり、窓を開けて換気をすることも難しくなります。このように、わずかな巣の存在が日常生活の快適さを大きく損なう原因となるため注意が必要です。
ダニやノミ、病原菌などの健康被害リスク
鳥の巣やその周辺には、トリサシダニやイエダニなどの害虫や様々な病原菌が潜んでおり、人体に深刻な健康被害をもたらす危険性があります。鳥自身やその巣、さらにフンには多くのダニやノミが寄生していることが少なくありません。これらは巣から室内に侵入したり、ベランダに出た際に人へ飛び移ったりして刺されることがあります。
ダニに刺されると激しいかゆみや湿疹、アレルギー症状を引き起こし、日常生活に支障をきたす恐れがあります。また、鳥のフンが乾燥して空気中に舞い上がり、それを吸い込むことで呼吸器系の感染症やアレルギー疾患の原因になることもあります。安全に生活するためにも、害虫や病原菌の温床となる巣を放置することは大変危険です。
同じ場所へ再び巣を作られる「執着性」の恐怖
一度巣を作られた場所は安全で快適な環境だと鳥が認識してしまうため、放置すると何度も同じ場所に巣を作られるようになります。鳥類は帰巣本能や記憶力が優れており、過去に無事に巣作りができた場所を強く記憶しています。そのため、仮にそのシーズンの子育てが終わった後であっても、巣をそのままにしておくと、次の繁殖期や別の鳥によって再び同じ場所を選ばれてしまう確率が非常に高くなります。
一度撤去しても、古い巣の残骸や痕跡が残っていると「ここなら安全に子育てができる」と判断され、何度も被害を繰り返されることになります。根本的な解決を目指すためには、早めの段階で巣を撤去し、鳥が寄り付きにくい環境を整えることが大切です。
専門業者に鳥の巣撤去を依頼する場合の判断基準と費用
専門業者への依頼は、高所作業の危険性がある場合や卵やヒナがいて法的手続きが必要な場面において、安全かつ確実な解決につながる最善の選択肢となります。
専門業者に依頼すべきケースとメリット
鳥の巣の駆除をプロの専門業者に依頼すべきケースには、巣が屋根の瓦の上や高所など脚立を使っても届かない危険な場所にある場合や、ハトやカラスなどの鳥獣が威嚇してきて自力での対応が難しい状況が挙げられます。また、すでに卵やヒナがいる場合は前述の通り自治体への申請が必要となるため、手続きから駆除までを一貫して代行してもらえる点が大きなメリットです。
自力での作業は転落事故の危険性があるだけでなく、鳥に寄生していたダニやノミに刺される二次被害のリスクも伴います。専門業者は専用の保護具や高所作業車を使用し、安全かつスピーディーに作業を進めてくれます。さらに、鳥の執着心を断つための強力な防鳥対策や周辺の消毒までトータルで対応してもらえるため、再発を防ぎたい場合にも頼りになります。
業者に依頼した場合の作業内容と費用の目安
業者に鳥の巣撤去を依頼した際の一般的な作業内容は、現地調査、鳥獣の追い出し、巣の撤去、糞尿の清掃、そして再発防止のための消毒や忌避剤の設置までが含まれます。見積もり時にはどのような作業が含まれているのかを細かく確認することが大切です。
費用の目安は、巣の場所や種類、卵やヒナの有無によって異なります。一般的な高所作業を伴わない場合の巣の撤去であれば15,000円から30,000円程度が相場となります。ただし、高所作業車が必要な場合や、鳥の種類がカラスなどで威嚇性が高く大がかりな対策が必要なケースでは、費用が50,000円以上になることもあります。正確な金額を知るためには、必ず事前に現地を見てもらった上で見積もりを提示してもらいましょう。
信頼できる業者の選び方とトラブルを防ぐコツ
信頼できる業者を選ぶためには、1社だけに絞らず複数の業者から相見積もりをとることが基本です。極端に安い料金を広告で提示しながら、作業後に高額な追加費用を請求する悪質な業者を避けるためにも、見積もりの内訳が明確に記載されているかを必ず確認してください。
以下のポイントを押さえて業者を選ぶと、トラブルを防ぎやすくなります。
- 見積もりの内容や追加料金の発生条件について事前に十分な説明があるか
- 鳥獣保護管理法などの関連法規や、行政手続きに関する知識を持っているか
- 施工後の保証期間や再発防止策のアフターサービスが用意されているか
不明な点は契約前に質問し、誠実に答えてくれる業者を選ぶことが安全な解決への近道です。
鳥の巣撤去に関するよくある質問
鳥の巣の撤去を検討する際によくある疑問や、安全に対処するための具体的な対策について解説します。
ツバメの巣は縁起が良いと言われますが撤去しても大丈夫ですか
ツバメの巣は「商売繁盛」や「家内安全」の縁起物として大切にされることが多いですが、生活被害が深刻な場合は撤去しても法律上は問題ありません。ツバメも他の野鳥と同様に鳥獣保護管理法の対象ですが、卵やヒナがいない「空の巣」の状態であれば、許可なく自身で撤去することが認められています。
ただし、すでに卵やヒナがいる場合は、原則として勝手に撤去することはできません。そのため、玄関先などのフン害や鳴き声にどうしても耐えられないときは、ヒナが巣立って空の巣になってから取り除くのが適切な判断となります。どうしても事前に撤去が必要なときは、自治体への申請手続きを行う必要がありますが、まずは巣立ちを静かに待つことが一般的です。
自分で撤去する場合に必要な道具は何ですか
空の巣を自分で安全に撤去するためには、ダニや病原菌による感染症を防ぐための十分な防護グッズと掃除用具が必要です。鳥の巣やその周辺には寄生虫やフンが大量に付着しているため、作業時は素手で触れないよう厚手のゴム手袋や使い捨て手袋を着用します。
また、乾燥したフンや羽毛を吸い込まないように、隙間のない防塵マスクやゴーグルをつけることも大切です。さらに、巣を取り除いたあとの場所を徹底的に洗浄・消毒するために、家庭用漂白剤を薄めたものや鳥用消毒スプレー、新聞紙やゴミ袋、ほうきなどの清掃用具を事前に準備しておきます。作業後には衣服や身体についた汚れをきれいに洗い流すことが重要です。
一度撤去したあとに再び巣を作らせない対策はありますか
巣を撤去したあとに再び同じ場所へ鳥を寄せ付けないためには、物理的に近付けなくする対策と鳥が嫌がる環境づくりが不可欠です。鳥は一度安全だと認識した場所に何度も戻ってきて巣を作ろうとする執着心があるため、巣の撤去後はすぐにその場所をきれいに掃除して元の痕跡や臭いを消すことが先決です。
その上で、鳥が好む隙間を鳥よけネットやテグスで塞いだり、視覚や嗅覚で嫌がらせをする忌避剤を設置したりして再侵入を防ぎます。特にベランダの軒下などは隙間が多いため、侵入経路を完全に断つことが再発防止の最も確実な方法となります。
鳥の巣撤去まとめと安全な解決に向けた行動
自宅のベランダや軒下に鳥の巣を見つけたときは、焦って自分で撤去する前に、まずは法律や安全面を確認することが何よりも大切です。鳥獣保護管理法があるため、卵やヒナがいる場合や許可がない状態での勝手な撤去は思わぬ違反につながります。また、インターネット上の誤った情報や「自治体が作業を代行してくれる」という誤解に惑わされないよう、正しい事実を把握しておくことがスムーズな解決への第一歩となります。
今すぐ安全に問題を解決するために、読者の皆様が次に取るべき行動は以下の通りです。
- 巣の中に卵やヒナがいないか、安全な距離から確認する
- 卵やヒナがいる場合は、自分で触らずに市町村の窓口へ連絡して捕獲等許可申請の手続きを確認する
- 高所に巣がある場合や、安全な作業が難しいと感じたときは無理をせず専門業者へ相談する
鳥の巣をそのまま放置すると、騒音やフン害だけでなく、ダニやノミによる深刻な健康被害へと発展する恐れがあります。自身の状況に合わせて自力での対応か業者への依頼を適切に見極め、法律を守りながら安全で快適な生活環境を取り戻しましょう。


